こんにちは。つるけら(@tsurubloger)です。
飴村行氏の『粘膜』シリーズはご存じでしょうか?
かなり衝撃的な描写が続く作品で、好きな人はとことんハマるカルト的人気がある作品です。
わたしもドハマりした一人です。
今回は『粘膜』シリーズについてたっぷり語ります!
そもそも『粘膜』シリーズって何?
『粘膜』シリーズとは、作家である飴村行氏によって生み出されたホラーファンタジー小説です。
シリーズ一作目の『粘膜人間』は2008年10月に発行され、第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞しました。
現在では
- 粘膜人間(2008年8月)
- 粘膜蜥蜴(2009年8月)
- 粘膜兄妹(2010年5月)
- 粘膜戦士(2012年2月)
- 粘膜探偵(2018年5月)
の全5作品あります。(著者エッセイの『粘膜黙示録』は除く)
約10年ものあいだシリーズが続いており、今後も期待できる作品です。
ちなみになぜ粘膜なのかは分かりません。
『粘膜』シリーズどんな話?
大日本帝国時代の日本を舞台にしたもので、そこに架空のものが合わさったファンタジー作品です。
どの作品も主人公に何かしらの障害が立ちふさがり、それを乗り越えようとします。
その過程と結末がかなり衝撃的で、目が離せなくなるものばかり。
ただ生理的嫌悪感を抱く描写が多いため、人によっては気分が悪くなることも……。
各作品の世界観が繋がっていますが、直接的な関りはなく1作品で完結しています。
なので、どれから読んでもそこまで問題ありません。
ただしふとした描写に繋がりが見られるので、出版された順から読むのが一番楽しめるでしょう。
『粘膜』シリーズの魅力
それでは『粘膜』シリーズの魅力を5つ紹介します。
ワクワクする世界観
本シリーズは世界観のつくりがとにかく良いです。
- 化け物じみた体と力をもつ小学生
- 人間並みの知能を持つトカゲ
- 「死」を疑似体験をさせる薬
- 大日本帝国に対抗する抗戦ゲリラ軍団
- 現実ではありえない生態系をもつ昆虫たち
これを読んでいるだけでワクワクしませんか?
あらたな作品が出る毎に世界観が広がっていくのも素晴らしいです。
きれいに回収される伏線
きれいに伏線が回収される様は読んでいて気持ちいいですよね。
本シリーズは非常に丁寧に伏線が回収されます。
「これどういう事?」と思うものも、読み進めると思わず「あぁ!」と言ってしまうものが多いです。
特に終盤の回収具合はかなり見もの。
容赦のない残酷描写
本シリーズと言えばなんといっても残酷描写です。
暴力シーンはもちろん、拷問、殺人、処刑と何でもアリ。
血の流れる様や死亡した体の変化などかなり詳細に描写されていて、人によっては読むだけで気分が悪くなります。
わたしも拷問シーンに関しては、想像できるような痛みの描写があり、読んでいてキツかったです。
この残酷描写に耐えられるのであれば、『粘膜』シリーズを楽しめるでしょう。
個性的なキャラクターたち
本シリーズではどの作品にも個性的なキャラクターが登場します。
『粘膜人間』ならカッパ、『粘膜蜥蜴』ならトカゲ人間の使用人などなど。
彼らは暴力的な空気を緩和してくれます
そのコミカルな言動に思わず笑ってしまうことも。
ただ一見ギャグキャラに見えて、実は物語のキーになることもあるので侮れません。
卓越したワードセンス
『粘膜』シリーズというより飴村氏といえばその卓越したワードセンス。
「グッチャネって何だ?」
「女の股ぐら泉に男のマラボウを入れてソクソクすることだっ」
粘膜人間より
「もしマラボウオリンピックなるものがあれば間違いなく金メダルではないかと思いやす」
粘膜蜥蜴より
※マラボウ=男性器
何を食べたらこんなセリフが思いつくのでしょう?
一度読むと忘れられないほどのインパクトがありますね。
下品なことをいうシーンこそワードセンスが光っている気がします。
各作品のあらすじと感想(ネタバレなし)
それでは『粘膜』シリーズのあらすじと、それぞれの感想を書きます。
ネタバレのない程度で書くので未読でもご安心ください。
粘膜人間
身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。彼から理不尽な暴力を受ける兄2人はついに弟を殺そうと計画する……。
すべてはこれから始まりました。
弟である雷太のあまりの強さに絶望します。ホントに小学生??
1作目からアクセル全開で、残酷描写や生理的嫌悪感を抱く描写が一番多いです。
ただ読了後は熱い少年マンガを読んだような感覚になります。
これが面白く感じるならシリーズを追っていけるでしょう。
粘膜蜥蜴
同級生の雪麻呂の家に招待された2人の小学生。彼らは凄惨な事件に巻き込まれる……。
シリーズに出てくるトカゲ人間などは本作が初登場で、一気に世界観が広がります。
個人的にこれが最高傑作。
伏線の張り具合とオチがすばらしいです。
『粘膜人間』では感じにくかったホラー要素がよく伝わりました。
粘膜兄妹
自力で生計を立てる双子の兄弟。2人にさまざまな障害が立ちはだかる……。
彼らの行動力と狡猾さには感心しました。
あくまで正々堂々としないところに『粘膜』シリーズらしさを感じます。
伏線の回収具合もきっちりされており、楽しんで読むことができました。
話の途中なんの脈絡もなく出てきて暴れまくる「黒助」
彼の正体が分かった時には思わず「あっ!」と声が漏れるでしょう。
あと作中人物のゆず子ちゃんがホントに健気でかわいいです。
粘膜戦士
シリーズ唯一の短編集。
作中で『粘膜人間』~『粘膜兄妹』に登場した人物が続々登場します。
そのため上記3冊を読んでからが良いでしょう。
まさかあの人物が……という驚きがあります。
ファンならぜひ読んでおきたい1冊。
粘膜探偵
憧れの特別少年警邏隊に入れた少年。彼はとばっちりで謹慎処分になってしまう。
汚名返上するべく、噂の保険金詐欺を解決しようとするが……。
前作から約6年の時を経て出版された作品。
探偵という名の通り、若干のミステリー要素があります。
本作ではきつい描写はかなり少なめ。読みやすさではこれが一番でしょう。
ただ個人的には『粘膜』シリーズに求めていたものが薄かったため、少し寂しく感じました。
まとめ
以上、飴村行氏の『粘膜』シリーズについて語りました。
魅力は伝わったでしょうか?
気になったならぜひ手にとってみて下さい!
最新刊の『粘膜探偵』は前作から約6年の時を経て発刊されたため、今後も続きが出るかもしれません。
めちゃくちゃ楽しみです!
それではノシ
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