こんにちは。つるけら(@tsurubloger)です。
今回は大石圭氏の『湘南人肉医』を紹介します。
悦楽を求めて女の肉を食べ続けるサイコパス主人公。閲覧注意です。
- おぞましい本が読みたい
- 常軌を逸したサイコパスを見たい
- グロ描写に耐性がある
著者 大石圭氏について
大石圭氏は日本の小説家で、1993年にデビュー作の『履き忘れたもう片方の靴』で第30回文芸賞にて佳作を受賞しました。
主にホラー小説を書かれていて、おぞましくも魅力がある犯罪者の描写に定評があります。
あの有名ホラー作品『呪怨』のノベライズもおこないました。
代表作としては『アンダー・ユア・ベッド』『殺人勤務医』『人を殺す、という仕事』などがあげられます。
『湘南人肉医』書籍情報
タイトル | 湘南人肉医 |
著者 | 大石 圭 |
出版社 | 角川書店 |
本体価格 | 522円 |
『湘南人肉医』あらすじ
湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医だった。数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていた。しかし、彼は小さな頃から人肉に対して憧れを持っていた。そして、ある日、手術で吸引した女性の臀部の脂肪を食べてしまう。それは麻酔が施されていたため、苦かったが、人の肉を食べるという禁を破ったことに対して、優児は強いエクスタシーを感じた……。
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書評
以下『湘南人肉医』の書評です。
食人鬼の恐ろしさ
僕が欲しいのは―――女の肉だけだ。
湘南人肉医
主人公の小鳥田は「秋元美容クリニック」に勤める美容外科医です。
神の手と呼ばれるほど素晴らしい技術を持っており、周囲からの信頼を築いています。
彼は100kgを超える巨漢ですが、人当たりのよさと心地よい低音ボイスからつい心を許したくなる魅力があるようです。
ある日、小鳥田は興味本位から術後に患者の一部を食べ、人肉に目覚めてしまいます。
それ以降人肉を求めて殺人と食肉をくり返すようになるのです。
小鳥田の恐ろしさは本性を限りなく完璧に隠せていること。
普段は周囲からの信頼が厚い紳士。本性は残忍な食人鬼。しかも獲物をしとめる直前まで普段と変わりないのです。
殺される側も、まさが自分が食べられるとは思いもしないでしょう。
ところどころ被害者視点で書かれていて、あたかも読者が襲われているような臨場感が味わえます。
小鳥田いわく食事=性行為だそうで、豚や牛を食べるのはそれらと性交するのと何ら変わらないそうです。ここからも異常性がうかがえますね。
自身の異常性を自覚している
僕は異常なのだ。明らかに異常なのだ。
湘南人肉医
小鳥田は自身の行為について、異常性を自覚している描写が見られます。
免罪符のためなのか慈善活動もしています。
各国の恵まれない子供たちの金銭的支援をおこなっていて、その子たちのことを心から愛している様子。
作中かなりのサイコパスぶりを発揮しますが、自身に罪の意識をここまで持っているのは珍しいですね。
ただ性的嗜好が食に偏ってしまっただけの、ある種かわいそうな人物なのでしょうか。
それにしたって許されざる行為なのは変わりありませんが。
人によっては気分が悪くなる内容
人肉食がテーマのため、きつい描写が多いです。
獲物を解体している様子や食事の様子が次々でてきます。
特に食事のシーンでは味や食感が詳細に書かれており、人によっては気分が悪くなってしまうでしょう。
わたし自身そういったものには耐性がありますが、流石に人肉ソーセージはきつかったです……。
また各章の冒頭では人肉食についてのおぞましい歴史も書かれています。
かなり人を選ぶ内容でしょう。
盛り上がりは特になし
本作は小鳥田が人肉を調達し食べる。これをひたすら繰り返した内容です。
- ターゲットを決め仲良くなったタイミングで殺す
- 愛でながら食べエクスタシーを感じる
- 食べ終わると次のターゲットに狙いを定める
文体も小鳥田の内心を淡々と記しており、これと言った盛り上がりは特になかったです。
読みやすさはありますが、途中で退屈に思うかもしれません。
まとめ
大石圭氏の『湘南人肉医』いかがでしたか?
テーマが人肉ということもあり、かなり人を選ぶ内容かと思います。
ただ、サイコパスの異常性がこれでもかってほど書かれているので、怖いもの見たさで読んでみるのもアリです。
ぜひ体調に気をつけて読んでみてください。
それではノシ
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